「2100年までに野生のホッキョクグマがほぼ絶滅する」
このような学説があります。
原因は地球温暖化なんだとか。ああ、またかと思われた方も多いでしょう。動物や植物などが絶滅する原因として、最近テレビや雑誌などでよく聞くいつものやつです。
地球温暖化とは、地球の温度が少しずつ上昇していくという説で、地球規模で今後いろんな影響が出てきますよといわれているのは、みなさんもご存じのとおりです。
ただ、もし本当に地球温暖化が進んでいたとして、どうしてホッキョクグマが絶滅することになるのでしょうか。それはどのような理屈なのか、もうすこし順を追って説明しましょう。
地球温暖化でエサがとれない
地球温暖化が進んでいるといわれはじめて、だいぶ時間が経ちました。もうこうした考えは我々の中ですかっりあたり前のこととなってしまいました。
実際、この100年で平均気温が1℃近くも上がったことが報告されています。
このまま気温の上昇が続いていけば、農作物が育たなくなったり、海水面が上がったりといろいろな影響が指摘されています。
特に北極圏はほかの地域に比べても、格段に速いスピードで温暖化が進んでいるといわれており、北極の氷が年々縮んでいっているそうです。
では、温暖化が進むとホッキョクグマにはどのような影響が及ぶのでしょうか。
その答えはエサの確保です。
地球温暖化がホッキョクグマに及ぼす影響を表すとだいたいこんな感じになります。
↓
北極の氷が融ける
↓
ホッキョクグマが氷の上を自由に移動できなくなる
↓
氷の上にいるアザラシと出会う機会が減る
↓
エサとなるアザラシが取れなくなる
↓
餓死する
ホッキョクグマはアザラシや魚、鳥、海藻、何でも食べます。中でもおもなエサはアザラシです。
ホッキョクグマは泳ぎが得意な動物として知られています。ですが、海の中を自由自在に泳ぐアザラシを海中で捕獲するのは、さすがのホッキョクグマでも無理な話です。
そこでホッキョクグマは、氷の上にいるアザラシを狙うのです。氷の上で休んでいる、あるいは子育て中の個体などを捕まえて食べます。
しかし、この方法は氷に覆われる時期だけにしか行うことができません。
氷が解けてしまう夏の時期には、主食のアザラシを食べることができません。その間、ほとんど絶食状態で過ごします。
つまり、ホッキョクグマは食べられるときにこれでもかと食いだめしておいて、今度は断食して乗り切るというとんでもなく過酷な食生活を繰り返しているのです。
温暖化が進めば、氷が張らない時期が長くなっていきます。これは断食期間が延びることを意味しているのです。
そうなれば、ただでさえ過酷だった生活がもっと過酷になることは間違いありません。子供が耐えられないのはもちろん、大人でも耐えられず餓死してしまう個体が増えていくことになるでしょう。
環境汚染物質で免疫力が低下
地球温暖化以外にホッキョクグマが絶滅する要因としていわれているのが、環境汚染物質の影響です。
北極圏といえば不毛の大地。人がたくさん生活しているわけでもなければ、工場が建てられているなど開発がされているわけでもありません。では、環境汚染と無縁かというとそれは違います。
人の生活で生み出された環境汚染物質は、風に乗り、海流に乗ることで北極圏まで到達するのです。
そして環境汚染物質をプランクトンが取り込んで、それを魚が食べます。魚はアザラシに捕食され、今度はホッキョクグマがそれを食べるという構図です。
こうして環境汚染物質が濃縮した状態で取り込まれ、実際に野生のホッキョクグマから検出されたとの報告もされています。
では、環境汚染物質を取り込んだホッキョクグマはどうなるか。
ひとつには免疫力が低下するといわれています。免疫力が低ければ、それだけ生存確率が下がります。
そしてもうひとつは生殖系の異常です。生殖系に異常がある場合、そもそも子供ができなかったり、できても育たなかったりすることが考えられます。
ただ、環境汚染物質についてはまだまだ不明な点が多く、影響も実際のところ分かっていないというのが現状です。
もともと繁殖力が低い
これは直接的な原因というわけではありませんが、繁殖力が低いことも原因のひとつとなるでしょう。
ホッキョクグマは一度の出産で1頭から4頭程度。子育てには、だいたい2年半という長い期間がかかります。
多くの場合、母グマが子育て中に新たな子供を作ることはありません。そして、子グマが大人になるのは2頭に1頭といわれます。
つまり、1頭の母グマから次世代グマが育つのは、およそ3年ごとに1頭から2頭という計算です。
もし、ホッキョクグマの数が減ってしまった場合に回復することが簡単ではないことは、こうしたことからも容易に想像できるでしょう。
まとめ
ホッキョクグマについて調べていたところ、実はホッキョクグマの数は増えているという記事も多く見られました。
減っているのか、増えているのか、いったいどっちなんでしょうね。
そもそも地球温暖化もしているのか、していないのかすら定まっていない状況です。おそらく地球温暖化しているという人はホッキョクグマが減っているといい、地球温暖化していないという人はホッキョクグマが増えているというといったところでしょう。
ネットは簡単に情報が得られる半面、あやしい情報が混じっているのも事実。なにごとも疑ってかかるくらいがちょうどよいのかもしれませんね。