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【敵に塩を送る-語源】由来は上杉謙信とあの戦国武将!?

塩田 生活
塩田
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「敵に塩を送る」

このことばを知っている人は多いでしょう。

「そんな、敵に塩を送るようなマネをしなくても…」
「敵に塩を送ることには賛成できない!」

こんな感じで使います。

普段、敵対関係にある相手が困った状況におちいったとき、その弱みにつけ込むのではなく、あえて手を差し伸べて助けることを意味することばです。

それがなぜ「敵に塩を送る」ということばになったのでしょうか。

それは、戦国時代に活躍した武将・上杉謙信がとった行動に関係しています。

上杉謙信というと武田信玄とライバル関係にあったことはよく知られていますよね。しかし、信玄が領内の塩が不足して困っていたとき、謙信はそんな信玄にあえて塩を送り届けて助けてあげたんだとか。

こうしたエピソードから「敵に塩を送る」のことばが生まれたのだそうです。

もう少し詳しく説明しましょう。

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由来は義の武将上杉謙信

川中島

当時の状況

ときは戦国。

各地の領主が領土への野心を燃やし、あちこちで戦いを繰り広げていた群雄割拠の時代。

ただ、一応補足しておきますが戦国時代だからといって、まわりの国すべてを敵に回して戦っていたわけではありません。ときには同盟、ときには敵対、そのときの状況に応じてこっちと組んだり、あっちと組んだりを繰り返すのが普通でした。

当時の武田信玄は信濃への進出にあたり、その背後となる駿河の今川家と関東の北条家と同盟を結んでいたのです。

塩を止めた今川氏真と塩を送った上杉謙信

しかし、これまで同盟関係としてうまくやってきていた今川家との間に変化が生じます。その変化とは、おもに次のものです。

  • 実質的当主であった今川義元が織田信長によって討ち取られ、今川家の力が衰えた
  • 武田家の信濃平定から時間が経過し、統治が安定してきた

つまり、武田家にとって今川家がさほど重要でなくなったということ、それどころか攻略対象にすらなってしまったということです。

信玄は、自身の嫡男であった武田義信を廃嫡します。義信は今川家当主・今川氏真の妹を正室として迎え、同盟の象徴でもあったのです。さらに義元を討ち取った織田信長や、今川家を離脱した徳川家康に武田家が近づきました。

これは今川家に敵対する行為で、当然、氏真は怒り心頭といったところでしょう。

そこで氏真が武田家に対してとった行動が、塩の流通の停止だったという訳です。

塩というと、何でもある現代においてその重要度はなかなか理解できません。ただ、当時としては調味料はもちろん、食料の保存などにも利用され、人が生きていくうえで欠かせない大事な物資でした。

その当時の武田家の領国は甲斐と信濃。海を持たなかったため領国内の塩は、外からの輸入に頼っていました。

それを分かったうえで氏真は関東の北条家と示し合わせて、武田領への塩を停止します。これにより武田領国の人が困窮する事態におちいったのです。

このとき、氏真は武田家のもう一方の隣国である越後の上杉謙信にも、当然塩の停止を要請しました。

しかし、謙信はこのやり方に賛同せず、卑怯であるとして武田領へ塩を送ったということです。

謙信はこのとき「武力をもって戦うのであって、塩などで戦うのではない」といって突っぱねたともいわれています。なんとも謙信らしい男気のある言葉ですね。

史実ではない!?

古書
と、ここまでカッコイイ謙信のおはなしをしました。しかし、この信玄に塩を送るエピソード、実は江戸時代の創作といわれているのをご存じでしょうか。

このおはなしが登場する最も古い書物とされている『謙信公御年譜』が書かれたのは、江戸時代ももう半ばに差し掛かったころのこと。塩を送ったとされる時期から、実に100年以上もたったあとのはなしです。

しかもこの書物は物語要素が強く、信ぴょう性は低いといわれています。

今分かっているのは、史実としてはなにも確認されていないということ。あったとも、なかったともいえないというのが現状なんです。

もし、武田領に塩を送った事実があったとしても、それは単にビジネスチャンスをものにしただけではないかとも考えられています。

ちょっとした出来事が、謙信の義のイメージに結び付けられ、美談として語られるようになっていったというのが本当のところかもしれません。

まとめ

ビックリマーク
日本には数多くの故事・ことわざがあります。

中には間違った意味として使われているものもあって、「敵に塩を送る」もそうしたことわざのひとつでしょう。

塩のことわざというと「傷口に塩を塗る」ということばが思い出されます。また、不快な人物の訪問に対して「塩まいとけ!」みたいな使われ方もするので、ついネガティブなイメージを思い浮かべてしまいますよね。

確かに「敵に塩を送る」とだけ聞けば、何かのいやがらせ?と思うのが自然のような気もします。でも、こうしてもとになったエピソードを知れば、「なるほど!」と納得がいくのではないでしょうか。

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